PCB廃棄物処理に遅れ 高濃度含有機器は3割未満

ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理が著しく遅れている。日本環境安全事業(JESCO)による高圧トランス・コンデンサー(処理開始時点で約34万台)の処理は、スタートから7年が経過したが進捗率は3割にも満たない。電圧安定器や微量PCB含有廃棄物の処理もほとんど進んでいない。PCB処理特別措置法では2016年7月までにすべてのPCB廃棄物の処理を終えると規定しているが、このペースでは残り5年での完了は極めて厳しい状況だ。環境省は処理体制見直しなどを検討する。

PCB廃棄物は、
(1)高圧トランス、コンデンサーなど
(2)電圧安定器、ウエスなどの汚染物
(3)微量PCB汚染含有電気機器-の3種類に大別される。
このうちPCBを高濃度に含む(1)と(2)は政府の全額出資会社JESCOが全国5事業所で処理し、(3)のうち再生油柱上トランスは電力会社が自社処理し、それ以外の電気機器類は環境大臣認定処理施設で処理することが定められている。

(1)については今年3月時点で、高圧トランス類6215台、高圧コンデンサー類8万2550台が処理を終えているが、進捗率は3割に届かず、当初の想定よりも大幅に遅れている。
厳格な管理基準を遵守して作業を進めていることが主な原因。
操業初期を中心に、いくつかのトラブルがあったこともペースを遅らせた。
これまでは効率を優先して同じ種類の機器を処理してきたが、今後は超大型機器やPCBが漏えいした機器などの処理が必要になり、さらにペースが遅れることは確実だ。

(2)は電圧安定器(約600万個)、感圧複写紙(約700トン)、ウエス(約200トン)、汚泥(約2万トン)など部分的に高濃度PCBを含有する廃棄物。
現在は北九州事業所だけで処理が行われ、北海道事業所(室蘭市)が13年に処理を開始する予定。
東京事業所(江東区)は処理設備はあるもののトランス、コンデンサーの処理を優先し、現在は処理を行っていない。豊田事業所(愛知県豊田市)、大阪事業所(大阪市此花区)では地域住民の反対で受け入れのめどは立っていない。

(3)は法施行後に存在が明らかになった微量PCB汚染廃電機器で処理量は膨大だ。
再生油柱上トランス(約382万台)の処理は電力会社によって絶縁油が6割、容器が4割程度処理されている。
その一方、OFケーブル(1400キロメートル)トランス、コンデンサー類(160万台)などの処理はほとんど進んでいない。環境大臣が認定する無害化処理施設での処理が昨年からスタートしたが、施設認定はまだ4件にとどまる。これを拡大することが喫緊の課題になっている。

環境省はこうした現状を踏まえて、処理を促進する方策の検討に入った。JESCOで処理しているもののうち、比較的低濃度な廃棄物を無害化処理認定施設で処理することなどが検討されている。全体のスピードアップを図るためには、処理体制の見直しも必要になりそうだ。

出典:『化学工業日報』2011年10月7日